エクストリーム 『スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー』
92年作、エクストリームのサード・アルバムとなった1枚で、80年代メタルの終焉がいよいよ本格的になっていた時代に、グランジやミクスチャーといった新しい流れに乗らない形で彼等が進化した姿が提示された大傑作です。
MR. BIGと共に、メタルを知らなかった世代をも巻き込んだシングル・ヒットを放った前作では、テクニカルでありながら幅広い音楽性が目立ちましたが、ここではむしろ70年代回帰とも思われる方法論を展開しています。
メロディこそバラエティに富んだカラフルなものでしたが、彼等が敬愛するクイーン風の派手なコーラス・ワークとドラマティックな構成、そしてかつてのプログレ・バンドが試していたコンセプチュアルな作品集となっています。
「YOURS」、「MINE」そして「&THE TRUTH」と分けられた三部構成、組曲的な曲作り、そして現代社会を風刺するようなどぎつい歌詞は、明らかにLAメタル世代では見られなかったものです。
技術があるからこそ表現し得たアルバムとも言える、バンドとしてのピークでのアルバム。
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