全編視聴済み。再生良好、高画質。画面の歪み、ノイズなし。
非レンタル版。オリジナル紙ケース入り。
箱に傷みはあるが、日焼けや手垢もなく、表面はさらさらできれい。
カセット裏面のリール部が黄みがかってるのは、変色というよりは 元からの色のように思われる。いずれにせよ、不快感はない。
石ノ森章太郎ファン必携のコレクターアイテム。永久保存版。
名曲主題歌「10億光年の愛」
俺の考えたストーリー紹介 二次創作著者・あ ★STAR. 0 プロローグ
日が沈み、夜の訪れと共に輝きだす満天の星々。 目に見えるのにけっして触れられない、近くて遠い存在。
この不思議な隣人に心癒されるのはなぜだろうか? 願い事をしたくなるのはなぜだろうか?
人類が宇宙へ進出したと言われる現代でもなお、 人々にとって宇宙は神秘的な存在であり続けているのである。
★STAR.1 胎動
地球の平和のためにその身を犠牲にして戦い続けてきた009たちも今は引退し、 それぞれの故郷でささやかながらのどかな暮らしを送っていた。
009たちサイボーグチームを作った生みの親であるギルモア博士も、研究の 世界から身を引き、赤ちゃんエスパーである001や植物の世話をしながら余生を 過ごしていたのだった。
そんなある日、異変が起こる。 001が得意の予知能力により、未来の危機を予言したのだ。 それは、 全宇宙の征服をたくらむ暗黒帝王ゾアにより、地球を含む銀河中の生命体が全て滅ぼされる という途方もなく恐ろしいものだった。
その予言を裏付けるように、宇宙に浮かぶ観測用円盤コウノトリが地球に接近してくる 正体不明の巨大な物体をキャッチするのだった。 予言が真実なら、この大危機に立ち向かえるのは009たちしかいない。 しかしギルモア博士は、やっとのどかな暮らしになじみ始めた009たちを再び戦いの世界に 巻き込むことをためらうのだった。
そんな博士の気持ちをよそに、事態はどんどん進んでゆく。 巨大な物体が闇にまぎれるように夜空からゆっくり降りてくると、博士の家でもある 研究所の隣に望む海へと沈んでゆくのだった。 この事件は政府の隠蔽により隕石の落下として報道されたパニックにはならなかったが、 もはや一刻の猶予も許されない。 そう判断したギルモア博士は、すぐさま009たちを招集すると、ソニック潜水艇ミチビキ号に乗って 巨大な物体の調査に乗り出すのだった。
そして、海底にたどり着いた009たちがそこで見たものとは、なんと地球上で作られた物とは 思えないほど鮮やかに輝く 巨大な宇宙船の横たわる姿だった。 わざわざこんな場所に着陸するにはそれ相応の訳があるはずだ。 もしかしたら、地球人と コンタクトを取りたがっているのかもしれない。 そう考えた009たちは、ソニック潜水艇ミチビキ号の水中スピーカーを使い、 謎の宇宙船に向かって呼びかけるも応答がない。 仕方ないので、泳ぎの得意な008のピュンマが危険を承知で外に出ると、 宇宙船の偵察へと向かう。
しかし、宇宙船にたどり着いた008を009のジョーが急いで呼び戻す。 003のフランソワーズが得意の感知能力で、 何かが宇宙船から出てこようとする気配を感じ取ったのだという。 一体何が出てこようというのか? 008が潜水艇の中に戻ると、003のフランソワーズの言うとおり、宇宙船から光の帯が 伸びてきて009たちの乗る潜水艇にくっつくと、不思議なエアートンネルで 繋げてしまうのだった。 そして、乗れと言わんばかりに用意された足元に浮かぶ発光盤によって、ギルモア博士と 009たちは 謎の宇宙船の中へと導かれてゆくのだった。
宇宙船の中に入ると、そこで待ち受けていたのは発光体に身を包まれたエイリアンの姿だった。 警戒する009たちはすぐさま銃を取り出すと、エイリアンに向かって銃口を突き付ける。 しかし、他人の心が読める001のイワンがエイリアンに敵意がないことを知ると、 009のジョーたちに銃を下ろすよう説得する。 001の超能力は誰もが認めるところだった。 009たちは言われたとおり銃をしまうと、安心したエイリアンが光の中に包まれた本当の姿を 現す。 なんとその姿とは、ホラー映画に出てくるおぞましい怪物!!・・・などではなく、 頭に子犬のような耳を生やしたかわいらしい女の子だった。 今まで光っていたものはバリアで、危険から身を守るためのものだったのだ。
お互いに友好な関係を築けるとわかった両者は、挨拶を交わすとギルモア博士はさっそく 事の次第の 説明を求めることにした。
その説明によると、この女の子はケモノ族で名前をサリーといい、ピナッツ星の王女である ペリカ姫のペットとして可愛がられていたのだが、 宇宙征服をたくらむ暗黒帝王ゾロの攻撃に遭ってしまい、 地球のサイボーグ戦士たちに助けを求めるべく、王女の名を受け、 宇宙船に乗って はるばる一人で逃げのびてきたということだった。 どうして地球のことを知っていたかというと、実はピナッツ星の人々は遥か大昔から 地球にやってきていて、遠く離れた所から密かに監視してきたというのだ。 それで、ギルモア博士と009たちの活躍も知っていたのだという。
そして、最も大事な暗黒皇帝ゾロは何者かというと、 それはサリーたちにもわかっておらず、 今現在で判明していることは、 メカ軍団を操り、征服した星の人間を奴隷兵として戦わせ、 優秀な科学者をさらってゆき、 そして、宇宙の神秘の力、ボルテックスを手に入れようとしている、 ということだった。
ボルテックスとは何か? サリーには難しい話はちんぷんかんぷんだが、 ようするに、 ボルテックスとは宇宙を生み出したビッグバンの源であり、 ありとあらゆる力が宿る聖域として、何人も侵してはならない、 という伝承がピナッツ星には残されている、というものだった。 そして、 ピナッツ星の王族が、代々ボルテックスを守護してきた、というのである 。
そのことを知った 暗黒皇帝ゾロが、ボルテックスの秘密を手に入れるため、 ピナッツ星に攻め込んだに違いなかった。
敵の狙いがはっきりした所で、急に宇宙船の船体が激しく揺れる。 サリーを追いかけてきた帝国軍の宇宙戦艦が、上から009たちの乗る宇宙船を 押さえつけているのだった。 そして、宇宙船を動けないようにすると、サリーがさっき見せたトンネルを使い、 帝国兵が乗り込んでくる。 宇宙船のメインホールにいるギルモア博士と009たちの前に現れたのは、 帝国メカギャング、キラーマンと手下の奴隷兵たちだった。 帝国に仇なさんとする芽を潰すべく、サリーたちを殺そうとするキラーマンたちと それに応戦する009たちとの激しい攻防が繰り広げられる。 手下の奴隷兵ごと攻撃してくるキラーマンの鉄球に手こずる009たちだったが、 さすがに9人ものサイボーグ戦士を相手にするのは分が悪い。次第に形勢が逆転してゆき、 勝負は決まったかと思われたそのとき、 爆発音とともに船体が激しく揺れると宇宙船全体が暗闇に覆われてしまった。 ここに来る前に、キラーマンが動力室に爆弾を仕掛けていたのだった。 そして、停電で真っ暗になった隙に、ギルモア博士と001をさらってしまう。 全宇宙の知能を吸収することで、ボルテックスの秘密を解き明かそうとしている 暗黒皇帝ゾロへの土産にするためだった。 そして、キラーマンが宇宙戦艦に戻り飛び去ってゆくと、 自動修復により非常用ライトが灯り、悲嘆にくれた009たちの顔を浮かび上がらせる のだった。
暗黒皇帝ゾロの野望はもはやピアッツ星だけの問題ではない。 そう実感した009たちは、ギルモア博士と001を救い出すためにもピアッツ星に向かう 決心をするが、現在の地球の科学力では星の海を渡る手段がなかった。 そこでサリーが、この宇宙船スーパースパーク号を自由に使ってほしいと提案する。 しかし、先ほどの爆発でエンジンが破損しているため、修理する必要がある。 009たちは、研究所の技術者たちが宇宙船の修理している間に、 各々、 家族や友人に別れの挨拶をすることにした。
005のジェロニモはインディアンの聖地へと帰り、滝に打たれながら瞑想にふける。 006のチャンチャンコは故郷の中国へ帰ると、独裁政権の圧政によって お腹を空かせている子供たちに得意の料理で元気づける。 007のブリテンは、イギリスへと帰り橋の上でギターを弾き自作の詩を歌いあげて、 ホームレスに施しをする。 008のピュンマは故郷のアフリカに帰り、動物たちを狙う密猟者を痛い目に合わせる のだった。
しかし、家族のいない002のジェットと004のハインリッヒは特に帰る当てもないので、 二人でバイクに乗ると、煽り運転をする犯罪ドライバーたちを煽り返しながら、 峠までツーリングに出かける。 そして、山頂の展望台に着くと、夕日に染まる海を眺めながら二人は胸の内を 語らい始めるのだった。
二人ともサイボーグの自分を憎んでいた。 サイボーグになる前の自分に戻りたいと思っていた。 他人にとっては取るに足らない人生だったかもしれないが、 子供も残せず、戦うだけの兵器にされた 今よりははるかに満ち足りた日々を 送っていたのだった。
特に004のハインリッヒには悲しい過去があった。 独裁国家中国の強制収容所から恋人のヒルダと脱走しようとしたとき、 中国兵に撃ち殺されてしまい、自分だけがサイボーグ戦士として生き残ってしまったのだ。 以来、ハインリッヒはそのことを悔やみ続け、 戦いの中で常に死に場所を探し求めて きたのだった。
一方同じ頃、009のジョーと003のフランソワーズも海辺のレストランで 夕日を眺めながら、お互いの気持ちを語り合っていた。 そこで009のジョーは、003のフランソワーズに地球に残るように言う。
戦いに明け暮れる日々を過ごしてきた009にとって、003のフランソワーズは 生きる力を与えてくれた、言わば希望の花だった。 そんな 可憐な003のフランソワーズが、これ以上兵器として 戦う姿を見るのに 耐えられなかったのだ。いつまでもバレエダンサーとして輝いていてほしかったのだ。 それは009のジョーにとって003のフランソワーズが、 それだけたいせつな存在である ということでもあった。
しかし、003のフランソワーズは固く握った009のジョーのこぶしに自分の手を添え、 どんなときもジョーと離れたくないとすがりつく。 そして、フランスの両親に会ってほしいと頼むが、 009のジョーは 固く口を閉ざしたまま何も答えないのだった。
こうやってそれぞれの別れを済ました009たちは、 修理を終えた宇宙船シャイニングノヴァ号に乗り込むと、ピアッツ星に向けて 旅立つのだった。
★STAR.2 暁
母なる地球を後にした009たちは006のチャンチャンコが作る中華料理、 肉まん、シュウマイ、餃子をたらふく食べながら、スターゲートを目指す。
スターゲートとは宇宙の次元の歪みが生み出した言わば抜け穴のようなものだった。 サリーの説明によると、この秘密の抜け穴が宇宙中に張り巡らされているというのだ。 そして、サリーの案内に従ってスターゲートまでやってくると、そこには 巨大な隕石群が密集していた。 これはサリーが地球にやってきたときにはなかったものだった。 直感的に怪しいと感じた009が操縦者の003にストップを命じる。 そして、宇宙船に搭載されたスーパースパーク砲を隕石群に向かって撃ち放つ。 すると、撃たれた隕石が次々と連鎖的に爆発してゆく。 やはり、帝国軍の仕掛けた罠だったようだ。 隕石に宇宙機雷が仕掛けられているに違いなかった。
隕石は粉々になりながらも、まだ無数に存在していた。そしてその空いた空間に 周りの機雷隕石が入り込んでくる。 次のスーパースパーク砲を撃つにはまだしばらく時間がかかる。 しかし、ギルモア博士と001のイワンやピアッツ星のペリカ姫を救うにはこんな所で 立ち止まっているわけにはいかなかった。 焦る009たちを後にして、005のジェロニモがマグネットシューズを履いて船の外に出ると、 主砲の筒をへし折って船の前に立った。 怪力自慢の005が、筒をバットの代わりにして隕石で野球をしようというのだ。 005の狙いに気づいた009たちが宇宙船を慎重に進めてゆくと、005がバットを 豪快に振り回し、カキーン、カキーンとおもしろいように隕石をホームランにしてゆく。 宇宙空間では重力がないため、巨大な隕石でも軽々と飛ばせるのだ。 しかも、エネルギー砲と違って機雷を爆発させることもない。IT野球顔負けの 頭脳プレイだった。
ブンブンとバットを振り回しながら快調に進んでゆくと、ついにスターゲートが姿を現す。 005が船内に戻るのを確認すると、009たちはスターゲートの中へと突入してゆくのだった。
スターゲートの中は009たちの知っている通常の次元とは異なる次元だった。 コンピュータの計器は役に立たず、誤作動を繰り返し、 窓の外を見ても船が動いているのか止まっているのかも全く分からず、 ただ、進んでいるという感覚のみが009たちに伝わってくるだけだった。
そうして一瞬とも永遠ともつかぬトンネルを抜けると、 宇宙船シャイニングノヴァ号は再び通常空間へと戻ってくる。 コンピュータが回復し、星座標モニターが近くにある惑星を指し示す。 サリーによると、ここがピアッツ星とのことだった。
しかし、新天地の宇宙で待ち構えていたのは、帝国軍の宇宙艦隊だった。 009たちをゲートの出口で待ち伏せしていたのだ。 敵空母から小型の戦闘機がゾロゾロ出てくると、シャイニングノヴァ号目がけて 一斉に襲いかかってくる。
インベーダーゲームの始まりだと言わんばかりに、009たちも それぞれ戦闘配置に付くと激しく応戦する。
007のブリテンと008ピュンマと009のジョーは戦闘機に乗り込み、 敵機と空中戦を繰り広げ、 003のフランソワーズは感知力を働かせて宇宙船に近づいた敵機の攻撃をよけ、 002のジェットと004のハインリッヒは宇宙船の銃座に乗り込み、息の合った コンビプレイで敵機を撃ち落とし、 005のジェロニモは宇宙船の外に出て、ダブルバズーカ砲をぶっ放し、 006のチャンチャンコは料理係として厨房でフライパンを振り回し、 サリーがそれを手伝うのだった。
この009たちの固い絆で結ばれた奮戦により、敵機は次々と撃ち落とされてゆき、 そして最後は、守りを失った敵宇宙戦艦をスーパースパーク砲で撃破するのだった。
この勢いのまま目的地へと突き進む009たちの前に、地球に似たきれいな星が 姿を現す。 ようやくピアッツ星に着いたのだった。 しかし、喜ぶ009とサリーたちの前に、またもや帝国軍の艦隊が姿を現した。 これではきりがないと、009たちは二手に分かれることに決める。 003のフランソワーズと002と004たちはこのまま宇宙船で敵を陽動し、 その隙に残りの009たちはサリーの案内のもと、エアートンネルで地上に降りることに するのだった。
作戦が成功し、無事に地上に降りた先に着いた場所は、ペリカ姫たちが籠城している クリスタルタワーの外れにある湖だった。 サリーによると、この湖の水路は城の地下水路まで通じているという。 森の向こうでは、帝国軍に抵抗する王国軍の戦いによる火の手が上がっていた。 かなりの劣勢のようだ。 さっそく009たちは、湖へと潜りトンネルの中を泳いでゆく。
009たちはサイボーグなので水中でも呼吸ができるが、サリーはそうはいかない。 水中を泳いでいる間は、009たちが代わるがわる口移しでサリーに息継ぎをして ゆくことにした。 しかし、009のジョーだけはなぜか、かたくなに拒むのだった
そうして先へ先へと泳いでゆくと、ついにクリスタルタワーの地下に通じる水路まで やってきた。 しかし、城の中に入る水路は巨大な鉄格子で隔てられているので、 サリーの持っている王家のペンダントで開ける必要があった。 さっそく門の前に近づき、ペンダントをかざそうとしたそのとき、 暗い水底から巨大なザリガニが姿を現したかと思うと、009たちに襲い掛かかってきた。 帝国軍のメカアーマー、チョーリキガーターだった。 必死に応戦する009たちだが、水中では思うように体が動かない。 明らかに分が悪かった。 早く鉄格子を開けようとペンダントを王家の紋章にかざすサリーだが、 少しだけ上へ 開いたところで ペンダントを落としてしまう。 泳ぎの得意な008ピュンマが取りにゆこうとするが、チョーリキガーターの 巨大なハサミが 行く手を阻む。 もはや万事休すかと思われたそのとき、 百万馬力の005が巨大なハサミの中に飛び込み、敵の攻撃を封じ込めるのだった。 その隙を逃す009たちではない。 すかさず008がペンダントを拾いあげると、受け取ったサリーが人一人分 通り抜けられるだけの隙間を作り、全員通り抜けたところで鉄格子を閉じるのだった。
009たちが水から上がると、階段を上り一階へと向かう。 そして、007の得意の変装で帝国兵に化けると、捕虜たちを捕まえたフリをして、 タワー最上階の展望台へと通じている王家専用エレベーター目指して進んでゆく。 途中で、サリーの道案内の小声で怪しまれてしまうと、ロープも手から落ちてしまい 芝居がばれそうになるが、006のチャンチャンコが得意の火を吹いて妖術使いの 縄抜けの術と思わせて難を逃れるのだった。 そしてエレベーターに着くと、ペンダントをかざし中に入り、ペリカ姫たちが籠城している 最上階目指して昇ってゆくのだった。
展望台に着くとそこには、数名の兵士に守られたペリカ姫と父王エデルがいた。 サリーが、救世主として009たちを連れてきたことを説明してお互いうちとけると、 エデル王はさっそく暗黒皇帝ゾロとボルテックスについて語り始めた。
それによると、なんと暗黒皇帝ゾロは元々はペリカ姫の姉であるマリカ姫の 婚約者だったという。 それがあるとき、崖から落ちそうになったマリカ姫を助けた代わりに谷底に転落した ゾロはサイボーグの体として甦ってしまう。 そのことを悲観したゾロは、マリカ姫を助けたことを恨みながら姿を消し、 悲嘆にくれたマリカ姫も自殺してしまう。 その後、ソロは暗黒皇帝を名乗ると、メカ軍団を率いてメカが人を支配する世界 を築くため 宇宙征服をたくらむ のだった。 そして、その野望のために必要な科学力を手に入れるため、宇宙中の知能を 集めてきたゾロは 今、アデル王からもボルテックスの秘密を手に入れ、 宇宙を支配する神になろうとしているのだという。
ゾロにボルテックスの力を渡さないため、共に戦ってほしい。 アデル王が009たちに頼み込んでいるところへ、エレベーターのドアが打ち破られ、 帝国メカ将軍ゼビルクローズが飛び込んでくる。 009たちの跡をつけて超高層エレベーターを這いあがってきたのだ。
ペリカ姫を守るように臨戦態勢をとる009たちに、ゼビルクローズの蜘蛛のように長い 脚と鉄爪が 襲い掛かる。 そして、天井に向かって粘着糸を吐き出すと、009たちを飛び越えペリカ姫を 捕まえてしまう。 ゼビルクローズの吐いたネバネバの白い糸がペリカ姫の体に食い込み、 ぐいぐいと締め上げる。 悲鳴をあげるペリカ姫に、手出しができない009たちは防戦を強いられてしまう。
このまま009たちは敵の毒牙にかかって倒されてしまうのかと思われた そのとき、 犬の姿に変身したサリーがゼビルクローズの顔に飛びついてゆく。 あえなく床に叩きつけられるサリーだが、反撃のための隙を作るには十分だった。 スピードスターの009が加速装置で間合いを詰め、ゼビルクローズの顔に ゼロゼロキックを叩きこむと、ひるんだところを006のチャンチャンコが得意の炎で 糸を焼き切り、ぐったりするペリカ姫を救い出した。 そして、剛力の005がゼビルクローズの体を締め上げると、そのまま抱え上げて 展望台の外へ放り投げる。 その宙を舞う巨体に向かって全員で光線銃を撃ち放つと、黒焦げになりながら はるか下の地上へと落下し木っ端みじんに爆発するのだった。
しかし、ここに伏兵が現れる。 地球の海底でギルモア博士たちをさらっていった帝国軍のメカギャング、キラーマンが アデル王を捕まえると外に飛び降り、回収に来たバトルロケットに乗って宇宙に 飛び立って行ってしまう。 エレベーターの中に身をひそめ、じっと隙を窺っていたのだった。 またしても味方をさらわれてしまい悔しがる009たちではあったが、 メカ将軍の死を知った帝国兵たちは混乱し、そこへ息を吹き返した王国軍が 猛反撃に出ると散り散りになった帝国軍はピアッツ星から撤退してゆくのだった。
そして、陽動作戦から戻ってきた003たちが加わり、ペリカ姫と共に国民の前に 健在な姿を見せると、王国は拍手喝采に包まれたのだった。
それから、連日連夜に渡り王国の勝利と救世主を称える祭りが繰り広げられ、 そろそろお開きにしようかというその夜、 ペリカ姫が庭園に009のジョーを呼び出した。
そしてなんと、この星に残り王として王国の繁栄に協力してほしいと プロポーズする のだった。 009のジョーは可憐なペリカ姫の申し出に後ろ髪をひかれながらも、 サイボーグの自分では子孫を残せないからと断ってしまう。
このとき、ちょうどタイミング悪く003のフランソワーズが009を探しにやってきて、 物陰から二人の会話を盗み聞きしてしまうのだった。 009のジョーの返答に悲しくもホッとする003のフランソワーズだが、 ここでペリカ姫が意外な言葉を口にする。
この星の王族、つまりボルテックスを守護してきた一族には 不思議な力が備わっていて、男女の体を交えなくとも意識を通わすことで二人の子を 宿すことができるというのだ。
それを聞いて003はショックを受けてしまう。 009と同じく赤ちゃんを産めない003にとってペリカ姫の言葉は、自分には 女としての価値がないと言われているのも同然だったのだ。
009のジョーの返事を聞くまでもない。 003のフランソワーズは涙でしぼむ瞳を閉じて、その場から去ろうとするが、 そのとき009のジョーが信じられない言葉を口にする。
なんと、それでもペリカ姫のプロポーズを断るというのだった。
あまりの驚きに足音を立ててしまう003のフランソワーズ。 3人の間に気まずい空気が流れる中、二人の関係を知ったペリカ姫が 寂しそうにその場から去るのだった。 そして、女としての劣等感と罪悪感を抱く003のフランソワーズも009のジョーに 対して、ぎこちない態度しか取れないのだった。
それから数日がたち、シャイニングノヴァ号の修理も終わり、 ついに出発の時がやってくる。
009たちの目的地は暗黒皇帝ゾロの居城である、 帝国宇宙機動要塞ブラック1だった。 これに 王国軍宇宙艦隊も加わることが決まる。 009たちと王国軍との合同でブラック1に総攻撃を仕掛けようというのである。
指揮官として王国艦隊に乗り込むペリカ姫と009たちは互いを鼓舞すると、 救国の英雄を先頭にした大艦隊が勇壮な姿を天高く舞い上がらせて ゆく のだった。
★STAR.3 流転
宇宙に浮かぶ、惑星を模した禍々しい巨大球体、帝国宇宙機動要塞ブラック1。 いよいよこのブラック1に到着した連合軍は総攻撃をかける。 009たちと王国軍の戦闘機が出撃し、 シャイニングノヴァ号も援護しながらあとを追い、 ペリカ姫の艦隊も前進を始めるのだった。
連合軍は次々と帝国軍戦闘機を 撃ち落としてゆく。 009たちはそのままブラック1の外壁に取り付くと、 要塞兵器を破壊しながら、格納庫内部へと突入する。
格納庫を攻められて混乱した帝国軍戦闘機を王国艦隊がけちらしながら、 009たちのあとに続いて次々となだれ込んでくる。
再びペリカ姫たちと合流した009たちは作戦成功に喜ぶが、 こうしている間にもギルモア博士や父王たちが危険にさらされているかと思うと、 ぐずぐずしているわけにもいかなかった。 009たちを先頭に、連合軍は暗黒皇帝ゾロの玉座目指して 突っ走って ゆくのだった。
行く手を阻む帝国兵たちを怒涛のごとき勢いで跳ね飛ばしてゆく009たち。 そして、ついに皇帝の間の直前までやってきた所で、 要塞中央にそびえ立つセントラルタワーへの橋が下ろされてしまう。
どうやらここからは、009たちしか先へ進めないようだ。 空を飛べる002のジェットとミニドラゴンに変身した007のブリテンによって タワーまで運ばれた009たちは、ペリカ姫たちと一時的に分かれると 皇帝の間へと向かうのだった。
その途中の通路で、009たちはおぞましい光景を目撃する。 そこでは、人間がすっぽり入るカプセル状の容器が上下問わず無数に 配置されているのだが、中を覗くとそこにはなんと、人間たちが入れられて いるのだった。
おそらく、今までゾロがさらってきた科学者たちだろう。 こうやってカプセルの中で知能だけ延命させて、超科学で知力を 吸収し続けて いるのだ。 早く急がなければギルモア博士たちも危ない。 009たちが先を急ぐと、ついに皇帝の間に到着する。
009たちを招き入れるように自動で開く巨大な扉の中に入ってゆくと、 そこには広いホールの奥の赤い玉座に座る人影が見える。
今まで決死の思いで追いかけてきた暗黒皇帝ゾロだった。
そして、その両脇にはカプセルに閉じ込められたギルモア博士と001のイワン、 それとペリカ姫の父王がいるのだった 。 しかし、まだ容器に液体は入れられていない。 どうやら間に合ったようだ。
さっそく009たちはゾロに詰め寄るが、バリアではじき返されてしまう。 ゾロの周囲に形成される強力なバリアに阻まれ成す術もなく一方的にやられる 009たち。 003によると、このバリアはゾロのサイコパワーが作り出す超能力の一種らしかった。 このサイコバリアを破るには、こちらも001の超能力で対抗するしかない。
009が001を助け出そうと加速装置でカプセルに近づこうとするも、 009を上回るスピードで動くソロによりはじき返されてしまう。
暗黒皇帝の名は伊達ではなかった。 自慢のスピードを封じられてショックを受ける009だったが、 こちらには信頼できる仲間がいる。
009たちは、固い絆によって結ばれたアイコンタクトによって作戦を伝達し合うと、 一斉に行動に移る。
まずは、006のチャンチャンコが得意の火を吐くと、 007のブリテンがミニドラゴンに化けて風を巻き起こし、 火の渦をゾロに浴びせかける。 そうやってゾロに目くらましをかけたところで、 004のハインリッヒが得意のミサイルをぶっ放すと、 その砲弾を掴んだ005の怪力ジェロニモが猛スピードでゾロに向かって飛んでゆき、 その005のジェロニモを002のジェットがロケット噴射でさらに加速させ、 そして、 003のフランソワーズが得意の感知能力で合図を送ると、 005のジェロニモの背に乗っていた009のスピードスター、ジョーが 加速装置でダッシュし炎の中から飛び出すと、 ゾロの横を超スピードで駆け抜けてゆくのだった。
そのスピードは、あまりの速さに空気中の原子が崩壊光を発するほどだった。 スピードスター009は、文字通り星になったのだった。
さすがのゾロもこの彗星となった009には付いてゆけず、カプセルにたどり着いた009は そのままガラスを割って001を助け出す。
そして、001の超能力でゾロの思念を乱すと、バリアの張れなくなったゾロを 009たちが今までのお返しとばかりに攻め倒し、 そしてついに、ゾロを床に膝まずかせるのだった。
009たちの連係力の勝利だった。
しかし、ゾロはまだ敗北したわけではなかった。 奥の手を残していたのだ。
ゾロが玉座に座ると、床が玉座ごと空中に押し上げると、 同時に上下左右のあらゆる壁から機械がせり出してきてゾロと合体を始める。
そして、なんとホール全体が巨大なメカ巨人と化したのだった。
床が崩れた空洞の先には、ブラック1の遥か中心部にまで伸びる タワーの 外壁が見えた。 おそらくそこから動力エネルギーを得ているのだろう。 このセントラルタワー全体がゾロそのものだったのだ。
これがゾロの残していた奥の手だった。
巨大化したブラックゾロの魔王の剛腕がうなりを上げ、 巨大な口から吐き出された破滅の炎が空を焦がし、009たちに襲いかかる。
圧倒的な力の差に、もはや009たちには反撃の手段も残されていなかった。 じわじわと009たちの心に絶望が重くのしかかってくる。
009たちはこのままここで朽ち果て、 地球は、全宇宙は、ゾロ率いるメカ軍団に滅ぼされてしまうのか!?
誰もが絶望の淵から地獄を垣間見たそのとき、一人の戦士が前へと進み出る。
サイボーグにされて以来、ずっと死に場所を探し求めて戦ってきた 004のハインリッヒだった。
今が正に死に場所にふさわしいと言うのだ。
止める仲間たちに精一杯の強がりで返すと、 自分の体に組み込まれた自爆装置を起動させる。
生命維持を放棄したことにより、一時的に性能限界を超える力を手に入れた ファイナル004は、 ブラックゾロの攻撃をくぐり抜けると、セントラルタワーを通じて繋がっている ブラックゾロの動力源であるブラック1の中心部グラビティゼロ目がけて 飛び降りてゆく。
ファイナル004の姿が霞んで見えなくなり、しばらくの沈黙が流れたあと、 タワーの遥か彼方で大爆発が起こる。 ブラック1全体が激しく揺れ、あちこちから火の手が上がる。 建物が崩れ落ちてゆく中、ブラック1の動力源と繋がっているブラックゾロも ただでは済まなかった。 制御を失った膨大なエネルギーがタワーを通じて流れ込んできたため、 ブラックゾロ内部のメカがオーバーヒートし爆発を始めたのだった。
ブラック1はもうおしまいだ。 そう察した009たちはギルモア博士らを救い出し、ブラックゾロに止どめを刺そうとする。 しかし、ゾロは一足早く玉座から這い出ると、エデル王の知能を強制吸収して 奥へと逃げていってしまう。 001の予知能力によると、どうやらゾロは小型宇宙船でブラック1を脱出し、 ボルテックスを目指す気のようだった。
ゾロを追いかけようとする009たちの前に黒い影が立ち塞がる。 009たちの行く先々に現れては邪魔をしてきた宿敵メカギャング、キラーマンだった。
しかし、もうブラック1は崩壊寸前で、この場に留まるのも危険な状態だった。 009はギルモア博士とエデル王と共に他の皆を先に脱出するよううながすと、 キラーマンと最後の決着を付けようとする。
しかし、キラーマンは全員がかりでも苦戦した相手である。 009一人で勝機はあるのか? いや、009は一人ではなかった。 今の009には004の魂が宿っていた。 004ハインリッヒの死を背負って009ジョーは今ここに立っているのである。
今まで常にリーダーとして自分を抑えて戦ってきた009が、004の死を前に 初めて 怒りをあらわにする。 004の悲しみ、004を守れなかった不甲斐なさ、そして003への想い・・・。
抑えきれなくなった己の感情を全身全霊を込めて解放したとき、なんと009は 004の魂と融合した 009-DUO として覚醒するのだった。
覚醒した今の009-DUOにとってキラーマンはもはや敵ではなかった。 キラーマンの認識力を超えたスピードで飛び込むと、 009-DUOは 感情に身を任せて攻撃を繰り出し、 命乞いするキラーマンの息の根を止めるのだった。
キラーマンの体から噴き出す赤く錆びつく血を浴びた009-DUOの姿は、 とても003のフランソワーズに見せられるものではなかった。
その003のフランソワーズの顔が心に浮かんだとき、 我に返った009-DUOは 009のジョーへと戻る。 自分の凄惨な姿に恐れを抱きながらも、天国から力を貸してくれた 004に 感謝するのだった。
キラーマンを倒したものの、要塞内部はもはや火の海で崩壊寸前だった。 009は脱出を試みるが、ゾロの逃げた先に宇宙船は一隻も残されていなかった。 それでも脱出しようと、タワーをよじ登ってブラック1の外壁に出ようとするが、 灼熱地獄と化した要塞内で体力がどんどん消耗しいよいよ力尽きかけたそのとき、 009を呼ぶ声があった。 002のジェットと、その背に乗った003のフランソワーズだった。 003の感知能力で009のいる場所を探し当てたのだった。 そして、009を抱え上げると、そのままタワー沿いに上昇してゆき、 ブラック1を覆う巨大な外殻から宇宙空間へと飛び出すのだった。
3人は先に脱出していたシャイニングノヴァ号と合流すると、再び一つとなった009たちは 宇宙船の中から帝国宇宙機動要塞ブラック1の最後を見届ける。 そして、その身を犠牲にして009たちを救った004のハインリッヒに黙とうを捧げるのだった。
しかし、いつまでも悲しんでばかりもいられない。 今こうしている間にも、暗黒皇帝ゾロはボルテックスの力を手に入れ全宇宙を滅ぼす 破壊神になろうとしているのだ。
009たちはゾロの野望をくい止めるため、同乗しているペリカ姫の父であるエデル王に ボルテックスについての話を聞く。 エデル王の話によると、 ボルテックスはスターメイズと呼ばれる超次元の長いトンネルに守られていて、 その超次元空間を通り抜けることを許されるのは、並外れた精神力の持ち主だけだという。 そして、 スターメイズの入り口の場所を聞き、 封印を解除できるペリカ姫とペットのサリーを連れてゆくことを決めると、 009たちは王国艦隊と別れて、スターメイズ目指して出発するのだった。
★STAR.4 星に願いを
ペリカ姫の道案内を受け、宇宙の抜け道スターゲートをくぐりながら進んでゆくと、 ついに009たちはスターメイズの入り口にまでたどり付いた。 そして、入口を封じる巨大な建造物を前に、 ペリカ姫が封印解除の呪文を頭に思い描くと、巨大なゲートが大きく口を開けるのだった。
ここから先は、ペリカ姫たち封印の民も足を踏み入れたことのない未知の世界。 何が起こるかわからない超次元空間だった。 00チームを代表して、009のジョーが一人で進むことにした。
001のイワン、 002のジェット、 005のジェロニモ、 006のチャンチャンコ、 007のブリテン、 008のピュンマ、
ピアッツ星の王女ペリカ姫、 ペットのサリー、
天国にいる004のハインリッヒ、
そして、
003のフランソワーズ。
かけがえのない仲間たちに見守られながら、009のジョーは 暗黒皇帝ゾロの野望を打ち砕くため、 宇宙の平和を守るため、 スターメイズへと入ってゆくのだった。
スターメイズの中は、スターゲートとは全く異なる空間だった。 009のジョーが今までに経験してきた、あらゆる過去が時計の逆回りのように頭を駆け巡り、 その中に眠るあらゆる感情、 憎しみ、恐怖、欲望、誘惑、絶望、そして愛情が呼び起こされるのだった。
この飴と鞭を交互に与える拷問のような責め苦に、精神を擦り減らしてゆく009だったが、 この無限に続くと思われた狂気にも自分を見失うことなく見事試練に耐え抜くと、 その先に訪れたもの、 それは
完全な調和だった。
すべてが欠けることなく、すべてが満ち足りた完全な世界。 しかし、 それがゆえに何の変化も起きえない退屈な世界。
この、時間と空間が意味を成さない0次元世界と一体化した009の意識に、 同じくスターメイズを抜けたゾロの意識が流れ込んでくる。
それは執念の塊だった。 天地のわだかまりのない、この世界をも 支配しようとするゾロの執念。
富、領土、女、そして不老不死。 万物の全てを支配するゴッドパワーを手に入れようと、 周囲に満ちたエネルギーを吸って、
吸って、吸って、吸って、吸って、吸って、吸って、吸って、吸って、吸って、吸って、
吸い続けて、
エネルギーと共に肥大化してゆく執念を抑えきれなくなった暴走 ゾロは、
逆にエネルギーの渦にのみこまれ、ついにこの世界に吸収され消滅してしまうのだった。
それは009も同じだった。 この完全な世界で安らぐ009の意識も、徐々に徐々に薄らいでゆき、今まさに この世界に溶けて無くなろうとしていた。
しかし009のジョーには、ジョーを呼び続ける声があった。
ジョーを呼び続ける想いがあった。
その声に、 その想いに、 ジョーの中に眠る甘酸っぱさ、せつなさ、愛おしさが呼び覚まされたとき、 ジョーに再び精気がみなぎってくる。
そして、 何ものかに見送られる意識を感じながら、
目を覚ますと・・・、
そこには、00チームの仲間たちが、そしてフランソワーズがいるのだった。
009は、いつの間にか宇宙船の中に戻されていたのだった。 驚くべきことはこれだけではなかった。 ボルテックスの中で起こったことをみんなに話したあと、 何気なく宇宙船の外を見ると、 なんとそこには、生まれ故郷の地球の姿が目に飛び込んできたのだった。
これは、ジョーの帰りたいという気持ちがボルテックスの中で、 奇跡として具現化したのだった。
さっそく研究所に戻ると、 00チームとペリカ姫とサリーとギルモア博士で、夕日を眺める岬に 004の墓を立て、 改めて弔いの言葉を投げかけるのだった。 すると、みんなの想いに答えるように004の声がこだまして返ってくるのだった。
これは、みんなの心の中で004の声が響き渡ったものだった。
と、誰もが思ったがそうではなかった。
なんと、道の向こうから004が手を振って走ってくるではないか。 004は正真正銘、生き返ったのだった。 これもまた、ジョーの願いがボルテックスの中で叶えられたものだった。
そして、とっておきの奇跡がもう一つあった。
なんと、 生き返ったときに、 サイボーグの体ではなく、 元の人間の、生身の体へと戻されていたのだった。
そして、、、
そして、、、、、、
そして、、、、、、、、、
それは、
ハインリッヒだけではなく、他の仲間もみーんな、 元の人間の体へと戻っていたのだった。
イワン。
ジェット。
ハインリッヒ。
ジェロニモ。
チャンチャンコ。
ブリテン。
ピュンマ。
そして、
島村ジョーとフランソワーズ。
今まで地球の、そして宇宙の平和を守るため戦い続けてきた この9人の英雄たちに、 神さまがとびっきりのご褒美を授けたのだ。
人間に戻った彼、彼女たち9人の人生は、 今まさにここから始まってゆくのである。
★STAR.5 エピローグ
ジョーの人生は決まっていた。 それは、フランソワーズと生まれ故郷のフランスへ行って、 両親に挨拶をすることだった。 このことをジョーから告白されたフランソワーズは嬉しさで感極まり、 ジョーに体を預けると、二人は唇を重ね合わせるのだった。
そして、シャイニングノヴァ号に乗って帰ってゆくペリカ姫とサリーから また会いたいと言われて思わずにやけてしまうジョーに、 やきもちをやくフランソワーズ。 ようやく世界が平和になったと思ったら、今度は女たちの戦いが始まるのであった。